2018年9月14日金曜日

第100話 看護部長のつぶやき27「人間関係は難しい?」

~看護部長が看護にかかわるさまざまな「気になること」を
                    不定期につぶやき、発信するページです。~

先日の大雨や台風、北海道地震などの天災において、被災されました方々にお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

皆さま、こんにちは。河本智美です。
アッという間に9月も中旬に入りました。最近は、一日が本当に24時間あるのだろうか?と思うくらい、月日の経つのが早く感じるのは私だけでしょうか?先日もホームページにあげさせていただきましたが、来春卒業予定の看護学生さんの採用試験は、8月末をもちまして終了とさせていただきます。今年もたくさんのご縁を頂きありがとうございました。残り少ない学生生活を楽しみ、目標である国家試験合格のお知らせをお待ちしています。

本日のつぶやきは「人間関係は難しい?」です。
現場では様々な問題や課題がありますが、「人間関係」にまつわることが多くないでしょうか?問題というものは、問題を解決できるサイズに分割してPDCAサイクルを回すことで解決するジグソーパズル型課題(煩雑な問題)と、自分自身が原因の一部として組み込まれていて問題の全貌が分からないために「認知の死角」に原因が存在するルービックキューブ型課題(複雑な問題)に分けられ、「人間関係」はまさに自分自身が問題の一部に組み込まれている複雑な問題の典型型といえるそうです。

自分と相手の11のコミュニケーションを4つのパートで示すと、相手が何かを言うと私達はその言葉や態度を認知し、それに対する反応を示します。すると、相手もその反応を認知しさらに反応します。

自分側から見た場合に認識しにくいのは「相手の認知」です。さらに「自分の行動」も実は認識しにくいとされています。
たとえば、ある人が「怒っていないよ!」と言いながら、その態度や雰囲気は明らかに怒っている・・・そんな経験は皆さんもがあると思います。その部分が自分にとっては認知できない死角なのだそうです。つまり、私達は「相手の認知」と「自分の行動」の2つのパートに死角が存在している状態でコミュニケーションを取っているのです。

さらに「自分の認知」についてもどうでしょう?そもそも私達はありのままの真実を認識しているのでしょうか?
WE・ヒルの『妻と義母』」の絵はご存知ですか?若い女性と年老いた女性の2通りに見える絵は有名ですね。我々の脳は、事実そのものを認識しているわけではありません。様々なフィルターをかけて歪曲します。歪曲をさらに強めているのが思い込み(ビリーフ・固定概念)の存在です。
私達は生きている中で、経験から様々なことを学びます。その膨大な経験から、いつしか思い込みを作っていきます。思い込みは一度形成されると、脳の中でコンマ数秒の世界で思い込みを経由し、素通りするのは不可能だそうです。自分自身では、思い込みを経由しているとは思いもよらず、一瞬に自分では認識不能な反応をしてしまっているのです。私達は大人ですが、あからさまに出すケースは少ないかもしれませんが、ちょっとした仕草や振る舞いに出てしまっているのです。当然、自分の取った反応的態度は、相手に伝わります。これも相手側の思い込みフィルターを通して。そして、相手も反応的態度をとって・・というループが繰り返され、「この人とは話せば話すほど不快になる。溝ができる。」ということになるのです。そして、「攻撃されている」「否定されている」「わかってもらえない」「避けられている」という思い込みフィルターが働くわけです。

このようにみていくと「人間関係は難しい」のは当然と思いませんか?自分自身の反応的態度に気付くのが第一歩だそうです。しかし、私達は決して一人では生きていけません。周囲の人々に助けられ、支えられて生きています。自分では認識せずに溝を作っていることもあるかもしれません。まずは、相手を想う気持ちを声に出して伝える事から始めたいと思いました。(+_+)
                         引用参考:看護管理 vol.28 No.09 2018 ㈱医学書院