2019年4月17日水曜日

第123話 日常のひとこま7「高齢者糖尿病療養指導の体験を通して ~地域との連携の重要性~」

~ 師長・副師長・主任Nsが 日々あふれている「日常ひとこま」 を
                   不定期につぶやき、発信するページです ~

みなさんこんにちは。4階病棟 副師長 村上 由佳子です。
新年度を迎えて早1か月が経とうとしています。新入職員の皆さんも少し、職場の環境にも慣れてきた頃でしょうか。
今回、私は何をブログのテーマにしようかと悩みましたが…。糖尿病療養指導士である私が行ったある患者様の事例について紹介させて頂こうと思います。
「糖尿病=生活習慣病」というくらい生活スタイルが欧米化してきている現代、高齢者糖尿病♯独居♯血糖コントロール不良がキーワードとなる患者様が増えてきています。

この患者様は、ご主人と2人暮らしですが、高齢でご主人の協力が難しく薬物の自己管理困難な患者様でした。
再診のたびに糖尿病性昏睡のリスクを看護師が心配するぐらいの高血糖でした。その日もインスリンを混注した輸液を点滴後、持効型インスリンを打ってから帰宅という医師の指示がありました。
「点滴が終わられましたらインスリンを打ちますので院外薬局でお薬をもらってきてもう一度、病院に戻ってきてくださいね」と看護師がお声をかけていましたが、一向に戻ってこられないので自宅へお電話すると「病院に戻ること忘れてました!」とのご返事でした。医師へ報告し、その日は、インスリンの単位数を間違えないよう自宅で自己注射してもらうこととなりました。
医師は、インスリン強化療法にて血糖コントロールをする治療計画でしたが、1日1回の持効型インスリンと内服薬でコントロールとなってしまいました。
2週間後、採血データをみると更に悪くなっている状態でした。
再度、インスリン自己注射の手技確認、栄養指導を行いました。

このことから、インスリンの確実な投与の必要性を感じ受診時はもとより、訪問看護を利用されていたので訪問日には看護師がインスリンを打つように連携を取りながらコントロールをすることとなりました。
まだまだコントロールは困難ですが、他科でもよく見かける患者様でしたのでお会いすると、「調子はどうですか?」など看護師からお声をかけ「大丈夫です」という返事と明るい表情をみて安心しています。

「糖尿病療養指導」の役割は、患者様に指導を行うだけではありません。高齢者糖尿病患者様であるとなおさらです。患者様を取り巻く家族や地域との連携がとても重要で、医療関係者のサポートがなくてはならないものだとつくづく感じます。
これからもこの患者様にとって「今、何が必要か?」を考えて、チームでサポートできる糖尿病療養指導を目指していきたいと思います。
これからもご指導のほどお願いいたします。