2017年11月29日水曜日

第66話 看護部長のつぶやき13「クリティカルシンキング」

~看護部長が看護にかかわるさまざまな「気になること」を
                   不定期につぶやき、発信するページです。~

皆さま、こんにちは。河本智美です。
前回のブログ更新から、あっという間にほぼ一ヵ月が過ぎてしまいました。「とうとうブログ辞めたみたい・・。」っていう声が聞こえないかヒヤヒヤしながら書いています。11月も下旬、冬の到来です。当院にとって、一年で最も忙しい季節です。春が来るのを心待ちにして・・・今日も看護師は走ります!!

さて、今日のつぶやきは「クリティカル・シンキング(critical thinking」です。これは、看護の世界でもとても大切な、「んっ?何?なぜ?」という視点です。すなわち、日頃の「んっ?」という疑問を「スルーせずに、さらに追及する」ことと言ってもいいでしょう。日本語では「批判的思考」とも言われ、なんとなくネガティブなようで、否定的で受け入れられない、眉間にしわを寄せた状況を想像するかもしれませんが、決してそうではありません。「んっ?もっと○○なのではないか?」とその事象・現象を表象化された額面通りに受け取らず、いい意味で「斜めに構えた」視点で、より質の高い真理の探究や方法の開発などをすることだと考えられます。つまり自分の置かれた現状を、自分を含めた客観的視点からあらためて見つめ、まるでもう一人の自分をドローンに乗せて上から見下ろしているかのような状況と言えるでしょう。当たり前にしていることでも、それに甘んじることなく、常に患者のためにもっといいケアはないかと、日々、試行錯誤している看護の世界では実に重要な視点であります。

ケアは十人十色ならぬ千人千色です。そして、その背後にあるものは患者という生活者の数だけ存在します。私たち看護師は毎日、常に無意識のうちに「クリティカル・シンキング」で働いていることになります。だからこそ、看護の質の向上をはかれるのです。「ホントにこれでよいのかな?」「もっとよくなるためにはどうしたらいいのかな?」と、たとえ輸液管理1つをとっても、輸液の滴下や刺入部を見るだけでなく、そのルートはどこをどのように這わせるのが最適であるか?ということまで看護師は瞬時に判断しているのです。そのような判断や行動ができる看護師が「専門職・プロフェッショナル」だと考えます。もっとよいケアを提供するために、常に現状に満足することなく、「もっと、もっと、もっと・・・。」という気持ちを持つことが、まさに看護現場に必要とされる「クリティカル・シンキング」であります。

毎日、時間に追われ過ぎていきますが、「んっ?・・・・?」と考えることのできる「プロ」に少しずつ戻れたらいいなぁ~と思いました。(+o+)

                      引用参考:看護vol.69 No.15 日本看護協会出版社 2017